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降り続く雨を見ていたら、レイ・ブラッドベリの「長雨」が読みたくなった。

台風接近の影響で、明け方前にものすごい雨音がしていて目が覚めた。

起きた今でも、間欠的に叩きつけるような雨音で、まだ当分止む気配がない。

こんな日曜日もたまにはいいだろう。出かけることは出来ないけれど、静かに家のことでもする。

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ふと、昔読んだレイ・ブラッドベリの「長雨」を思い出した。

決して止むことのない雨が降り続く金星に不時着した隊員たちが、どこかにあるに違いない、唯一雨宿りが出来る「太陽ドーム」を目指して歩き続ける話だ。

途中で磁気嵐に撃たれたり、発狂して自殺したり、次々と仲間が亡くなっていく中で、主人公の中尉だけは一縷の望みを託して、「太陽ドーム」を目指し、そしてついに辿り着く。

こう書くと、ハードなSFかと思う人もいるかも知れないが、これがブラッドベリ一流のやり口で、ハードな描写は、最後に描く、「幸せ」のための、実に効果的な伏線なのだ。

ちょっと長いが、私が大好きなくだりなので引用させて頂きたい。

主人公がやっと太陽ドームに辿り着いたところだ。

しばらくは突っ立ったままあたりを見回した。背後では外の雨が渦を巻いてドアにぶち当たっていた。前方の、低いテーブルの上には、湯気の立つ熱いチョコレートのはいった銀のポットと、なかにマシマロのたっぷりとはいったコップがのっていた。そしてそのそばの別の盆には、濃厚な鶏肉と、いま切りたてのトマトと新鮮な玉ねぎとを重ねた、厚いサンドイッチがのっていた。そしてちょうど目の前にある棒には、厚地の大きな緑色の湯あがりタオルと、濡れた衣類を放りこむズックの洗濯袋がかかっており、右手には、温かい光線ですぐからだを乾かすことのできる小部屋があった。そして椅子の上には、新しい着替えの制服が、それを利用するだれか -この中尉でも、あるいは道に迷ったどんな人でもよい- を待っていた。そしてそのずっと向こうには、湯気のたっている銅製コーヒー沸かしにはいっているコーヒーと、すぐにでもしずかに音楽を演奏してくれる蓄音機と、赤と茶色のなめし革で装填した何冊かの本があった。そしてその本のそばには、簡易ベッドがあったが、そのふかふかの厚いベッドにむきだしの裸で横になり、この丈の高い部屋を上から見おろしているあの偉大な明るいものの光線を浴びてもよいのだ。

こういう情景描写で、主人公の気持ちを痛いほど感じさせる。これがブラッドベリの天才である。

やっぱり、レイ・ブラッドベリは大好きだ。改めて思った。

ウは宇宙船のウ (創元SF文庫)

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