パラレルワールドに行って帰ってきたイヤホン
どう考えても不思議なのだ。
あれから、毎日ダウンのコートを着るたびに、胸のポケットに何度も手を突っ込んでは、やっぱりおかしいと首をひねっている。
先週の土曜日にあるセミナーにでかけて、その帰りのことだ。
りんかい線の座席に座った私は、さて音楽でも聴こうとコートの胸のポケットからiPhoneを出した。来るときに、同じポケットにイヤホンも一緒に入れておいたはず。
しかし、ポケットを探っても、イヤホンがない。何度も探った。やはりない。
他のポケットに入れたか、もしかしたら鞄に入れたかと、服と鞄のあらゆるポケットを探ったのだが、やはり、ない。
しまった。どこかで落としたかな? 懇親会でお酒も入っていた私は、「まいったな」と半ばあきらめたのだが、やっぱりあきらめきれずに、もう一度、最初に探った胸のポケットに手を入れたら、
あった。
え?
狐につままれたようだ。
さっき何度も探った時には、絶対なかったのに。
それから毎日朝晩、同じポケットに手を突っ込むたび、確認する。絶対にあのとき、ポケットに入っていたら手に触れないはずがない。そんなに深いポケットじゃないのだ。ポケットに入っていたならば、絶対に手に触れる。
やはり、一度、イヤホンは無くなって、そして、しばらくして、そこに現れた。
そうとしか思えないのだ。
これはいったい、どういう現象だろう?
イヤホンか、私か、どちらかが、パラレルワールドに転移したのかも知れない。
あの日のセミナーはちょっとスピリチュアルなものだったのだが、もしかしたらそれが関係しているのかも知れない。
「思考が現実を創りだす」
そういえばそんな話を懇親会でした。もしかしたら神様が、そのサンプルを私に見せてくれたのかも知れない。