恐怖の角隠し

【角隠しの語源・由来】
江戸時代、能楽で女の生霊が嫉妬で鬼形になることから、また怒りの形相が角を生やした鬼に似ていることから、「つの(角)」という語は女性の嫉妬や怒りのたとえに用いられた。
角の意味から見た場合、被る目的は花嫁の嫉妬心を抑えるためで、語源もその意味からと考えられる。
角隠し(つのかくし) - 語源由来辞典


何気なく思いついてしまったのである。

「角隠し」というのは、「角」を隠すためのものであるとするならば、その前提として、

花嫁には角が生えている

ということを。


「角隠し」と言う言葉は、角の存在をまず肯定し、その上で、それを隠ぺいするためのものであることを、その名称が自ら表している。

この言葉が作った昔の人は、嫉妬や怒りを無くすことはできないと達観していたのだろうと思える。

しかし、花嫁がそれを露わにしていては夫婦が上手くいかないから、我慢してそれを出さないようにせよ、との教えを表現しているのが、花嫁が被る「角隠し」なのだろう。

つまり、我慢せよということだ。

実に昔の日本人らしい。


今の日本の花嫁は角隠しを被る人は少なくなったけれど、では角隠しを被らないと角が見えているかというと、特に角が見当たることも無かろう。

つまり、もう今の若い花嫁には角は生えていないのだ。

やはり、時代の抑圧、自分の意思のようには生きられない昔の花嫁の場合、その欲求不満が角として、花嫁に生えていたということなのだろう。