「誰も守ってくれない」
主人公は、通り魔殺人犯の妹と、それを保護する役割を与えられた刑事。
マスコミも世間も、犯人の家族を追い回す。貴重な証言者でもある犯人の家族を守ることが彼の使命だ。
犯人の家族にも罪はあるのか?
正義の裁きの名を借りて、見ず知らずの一般人やマスコミが、その家族の人権まで蹂躙する権利があるのか?
間違いなく、それはない。劇中にも出てくる言葉だが、
犯人の家族もまた、被害者なのだ。
では、被害者の人権はどうなのだ? 被害者の家族が奪われたものは永遠に帰ってこない。
何故警察が、加害者の家族の方を守るのだ?
その当然の疑問も、きちんと提示され、その狭間で刑事は苦悩する。
そしてその刑事もまた、過去に自分の落ち度で子供を事件に巻き込んで死なせてしまったトラウマを抱えて生きていた。
この物語は、決してはっきりとした結末は描いていない。映画としては、後味の良い方ではないかも知れない。
でも提示するテーマがあまりにもシリアスで重いので、仕方ないのではないか。
背筋が凍るような怖さと同時に、色々考えさせられる映画であった。
主演の佐藤浩市と、志田未来の演技は素晴らしかった。
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