やっぱり迫力の映像に圧倒された「トゥモロー・ワールド」

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日劇場で「ゼロ・グラビティ」を見て、生涯最高の宇宙映画を見たと絶賛したので、その監督作品を見てみたくなって、Huluで鑑賞。

舞台は近未来のイギリス。十数年前から何故か人間に生殖機能が失われ、人類はただ滅亡するのを待つだけになってしまった世界。政府から自殺薬が無償配布され、世界中が希望を失って荒廃した中、イギリスだけは難民の流入を食い止めてかろうじて秩序を保っていた。

アルフォンソ・キュアロン監督の作品を見たのは「ゼロ・グラビティ」で初めてだったので、この「トゥモロー・ワールド」を見て、二つの作品には2つの共通点があると思った。この共通点が、即ち、この監督の持ち味がなのだろう。

共通点の一つ目は、ストーリーは極めて単純だということ。「ゼロ・グラビティ」では宇宙に放り出された主人公がいかにして地球に帰還するかというだけの話だったし、「トゥモロー・ワールド」は世界でただ一人奇跡的に生まれた赤ん坊をいかにして敵をかいくぐって助けだすかというだけの話だ。

共通点の二つ目は、徹底してリアルなビジュアルだ。この監督は、そのビジュアルを見せるために映画を作っていると思える。でもその徹底ぶりが半端ではないので、それだけで映画としての圧倒的なパワーと個性になって成功しているのだと思う。

この映画も、荒廃した都市の描写が、見ていてこっちの気分が沈む位だし、主人公たちが銃撃戦の中をかいくぐって逃げる手持ちカメラでの長回しのシーンは、「ゼロ・グラビティ」での冒頭の事故シーンと同じく、一体どうやって撮ったのか。

アルフォンソ・キュアロン監督は、現代の映像の魔術師と言っていいと思う。

最後に、この「トゥモロー・ワールド」に限っては、終始、暗く、重苦しい映画なので、楽しい一時を過ごしたい向きには、オススメ致しません。