「しあわせのパン」
また、日曜日の午後にピッタリの映画を、日曜日の午後に見た。
北海道の湖の畔に、美味しいパンを焼いているカフェがある。
そこを営む夫婦。
最初は、北海道というよりヨーロッパの片田舎に見えるような、ちょっと現実感のない演出に、もしかしたらこれはただの雰囲気映画なのかな? だったらハズレかな? とも感じたのだけれど、見ているうちに、そのカフェに訪れる人々の人間らしさに、徐々に引きこまれていく。
夏にはこのカフェで出会った若い男女が、秋には少女とその離婚したばかりの父親が、そして冬には地震で店を失って死のうとしてやってきた老夫婦が、このカフェのパンを食べて、それぞれに救われていく物語だ。
食べることの幸せ、ぬくもり。それがこの映画のテーマだ。
群像劇ではあるのだけれど、絡み合った人間関係はない。ただ、そこにいる夫婦と、そこをたまたま訪れたり、いつも訪れたりしている人々の物語だ。
話はとてもあっさりとしている。それはこの映画の舞台の風景のようでもある。決して深くはない。でも押し付けがましくなく、人の優しさ、暖かさを描いている。
大泉洋と原田知世の夫婦もほんわかした雰囲気でいい感じだったが、最後の老夫婦の中村嘉葎雄が、さすがの芝居で良かった。
そうそう、エンドロールで流れる主題歌は、矢野顕子と忌野清志郎のデュエット。これもなかなか泣かせた。
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