映画「スティーブ・ジョブズ」を見てきた。

同じようなアメリカの成功者の伝記ものとしては、Facebookを作ったマーク・ザッカーバーグを描いた「ソーシャルネットワーク」を思い出すのだけれど、あれの3倍位良かったかと思う。

映画は、ジョブズが初めてiPodを発表するプレゼンのシーンから始まり、iMacのコンセプトが誕生するまでが描かれている。今の多くの人々にとっては、ジョブズは「iPhoneiPadを作った会社の創始者」であり、それ以前のことは良く知らないだろう。ところが、この映画では、まるでそうした最近のユーザにわざと肩透かしをするかのように、iMac以後のことは描いていない。

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レビューを見ると、「え?そこで終わるか」みたいな評価をしている人がいるけれど、私は必ずしもそうは思わなかった。映画で描かれているジョブズのこだわり、「とにかくシンプルに」「全ての人に使いやすく」といった精神を感じ取れば、それが後のiPhoneiPadのコンセプトへとつながって来たのだということは容易に想像出来ると思う。

実は映画でもちゃんと冒頭のiPod発表シーンが伏線となるような、ちょっとしたオチをラストに用意している。これでいいではないか。

それから、私個人としては私がジョブズと同年代ということもあり、友人たちとコンピュータを作っている場面に懐かしさを憶えた。

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基板上のロジックIC、裏側にぶら下げられた電解コンデンサ、ハンダゴテとシンクロスコープ。ジョブズがガレージでAppleⅡを作っていた頃、私も医療機器の開発で、マイコンを使った回路の制作やアセンブラでプログラムを作ったりしていた。ということを映画を見ながら思い出した。

やっていることにレベルの差はあっても、同じ時代に同じようなことをしていたのだなと。

映画の中で「MC6801」とか「68000」などという、当時のCPUの名前が出てきた。これは懐かしかった。そうそう、うちの会社ではインテル系だったから、8085を使っていたけれど、そうだ、当時、アップルはモトローラの68系だなんて、会社で話していたことがあった気がする。

おっと、工科系な話題に偏り過ぎたけれど、この映画、ジョブズの人となりはとても良く描かれていたと思う。特に若いころにどんなことに傾倒し、どんな音楽を聴き、どんな生き方を求めていたのか。という彼のその後の考え方の原点についてだ。

ソーシャルネットワーク」の3倍良かったのは、結局、ジョブズという人物の魅力が優っていたということなのかも知れない。


映画『スティーブ・ジョブズ』予告編 - YouTube