「正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官」
ハリソン・フォードが脚本に惚れ込み、初めてメジャースタジオ以外の作品への出演を快諾した作品とのことだったので、どんな映画だろうと興味を惹かれて見てみた。
アメリカに根付く移民という問題は、日本にいる我々には理解しにくい。この映画では、不法な手段と分かっていても何とかアメリカの永住権を得ようと画策する各国の移民と、それを取り締まる捜査官の姿が描かれる。
911テロの後、「不法移民を見ればテロリストと思え」式のピリピリしたムードが続いており、I.C.E.の捜査官たちは少しでも怪しいやつは徹底的に取り締まる。。
超映画批評『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』65点(100点満点中)
との背景が、映画を緊迫した雰囲気に盛り上げる。極めて硬派な社会派映画である。しかし、後味は決して悪くない。
この映画がすごいと私が思ったのは、ハリソン・フォードという大御所が主役ではあるけれど、他の映画のように彼はは決してヒーローではない。映画は何人かの移民の周囲を群像劇的に描いているが、その幾つかの結末にはハリソン・フォードはそこに存在すらしていない。むしろ、彼は狂言回し的な存在とも言える。
タイトルにもあるように「正義」とは何か? それがこの映画のテーマだ。
法を守る。それが「正義」なのか? 法を守れない者は全て「悪」なのか? それをこの映画は問いかけている。
脚本に惚れ込んで出演を快諾したというのが、名誉に決して欲張らないハリソン・フォードらしいと思ったけれど、この映画の脚本に惚れ込んだという、その理由も分かる気がした。
込められたテーマは、とても深い映画だ。
09年9月19日公開『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』予告編 - YouTube
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