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「終戦のエンペラー」

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あまりにも歴史的に有名なこの写真。

だがこれはもちろん、史実に基づいた劇中の写真である。

映画は、このシーンでクライマックスを迎える。この会見で昭和天皇がマッカーサーに言った言葉が、後の日本とアメリカの行く道を決めたのだ。

トミー・リー・ジョーンズが演じるマッカーサー元帥が、トレードマークの大きなパイプを咥えてタラップを降りる姿は、昔からニュース映像で何度も見たシーンだが、映画ではその前の機内での場面から始まる。

その機内でのシーンを見たとき、我々は、日本が舞台の物語でありながら、この映画は、「あちら側」から見た物語なのだと気付く。

父親たちの星条旗」と「 硫黄島からの手紙」のように、両側から見ることで、初めてことの本質が立体的に理解できるのだ。

この映画の一番の価値はそこにあったと思う。特に、当事者であり、「こちら側」からの情景は、小さい頃から見慣れて、分かっていたつもりになっていた、我々日本人にとって。

この映画は、基本的には史実に忠実に描かれているとのことだが、主人公のフェラーズ准将の日本人の恋人アヤとの物語は、映画的なフィクションだ。

天皇の存在や意義を探るという、ともすると思想的になって、非常に描くことが難しい題材を、映画では、一見本題とは無関係な恋愛物語を混ぜ込むことによって、上手い具合に柔らかくすることに成功していたと同時に、アヤとの物語によって、当時の占領軍に対する庶民の感情なども表現して、物語が立体的になったと思う。

この映画は、アメリカの観客にはどのように映るのだろう?

劇中では、天皇という存在は、大きな謎として描かれている。アメリカ人がこの映画を見た後、その謎は溶けるのだろうか? 私は、おそらくやっぱり良く分からない、謎な存在のままではないかと思う。

そして、それは現代の日本人、特に若い人にとってもそうではないだろうか。

冒頭のマッカーサーとの会見の場で、昭和天皇が何を言ったのか、おそらく日本人でも若い人は知らないと思う。そういう日本人こそが、この映画を見て、もう一度、今の日本や今の日本が作られたきっかけを振り返ってみると良いのではないだろうか。


映画『終戦のエンペラー』公式サイト
http://www.emperor-movie.jp/


『終戦のエンペラー』予告編 - YouTube