「風立ちぬ」

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見てきた。

この映画はとても、淡く儚い映画だ。もちろん、良い意味で。

ストーリーの深さも、深刻さも、緊張感も、ない。ここにあるのは、むしろリラックスした心地よさだ。

その心地よさは、いつか見た、懐かしい情景、いつか、見てはいないのだけれど、昔、こういうところに行ってみたいと思っていて、あ、ここに自分は来たかったんだ。と思い出したような、そんな感じ。

およそ、飛びそうもない飛行機が、やはり飛べず、落ちるシーン。それすらも、悲壮感というよりも、それは、いつか見た、懐かしいシーンの繰り返し。

黒澤監督が晩年作った、「夢」という映画。

これはそれに近いのかも知れない。

屋根の上からふわりと浮かぶ小型機も、果てしなく風が吹き抜ける草原も、そして、完璧なまでに清純で貞淑な女性像に至るまでも。

これは、全て、宮崎駿監督の、「こんな夢をみた」という映画なのだろうと思った。

そして、この映画に心地よく浸れるかどうかは、彼のその「夢」に共感できるかどうかの差なのだろうと思った。

と、いうことで、私としてはこの映画は、まるでゆりかごに揺られているかのような、心地よさに満ちた映画でした。


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