幻の名車タッカー

横浜美術館で行われていた、クラッシックカーの展示会「ザ・コンクール・デレガンス・ジャパン2013」を見てきた。

中でも白眉は、製造会社そのものが幻だった「タッカー1948」だろう。

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タッカーというクルマは昔、映画で知った。

ジョージ・ルーカスが総指揮、フランシス・コッポラが監督という豪華布陣で、革新的なクルマで列強の自動車メーカーに挑むタッカーと、そのクルマの誕生の実話だ。

このクルマのどこが革新的だったかというと、まず当時は無かったリアエンジン、ステアリングと連動して向きが変わる中央のヘッドライト、衝撃で外側に外れるフロントグラス、そしてシートベルトの採用などなど。

もっとも、シートベルトについては、「そんなものが必要なほど危ないクルマなのか」と言われたので外したというエピソードもあるらしい。

タッカー社は、このクルマを脅威と感じた3大自動車メーカーの妨害によって潰された。

現在、全世界に51台残っているとのこと。

そのうちの1台を見ることが出来てラッキーであったが、鮮烈な赤が似合うその巨大な車体に圧倒される。

アメリカン・ドリームというと、ちょっとロマンチックな響きがあるものだが、このクルマからは夢というよりも、気迫みたいなものを感じるのは、その数奇な生い立ちを知っていたからだろうか。

映画では、タッカーが法廷で、「そのうち日本のクルマを買って乗るようになる」と言って、あり得ないと爆笑を買うというシーンが描かれていた。

夢と違うものをこのクルマに感じるのは、アメリカン・ドリームの終焉の象徴だからなのかも知れない。

映画「タッカー」を探したら、何と輸入盤のVHSしか無かった。是非、DVD化をお願いしたい。

Tucker [VHS] [Import]

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