心の琴線の音楽

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それをパラパラと奏でているだけで泣けてくる。

子供の頃に見た夕焼け空や、青春時代に見た入道雲が瞼に浮かんでくる。

そんなコード進行やメロディが、私にはある。

そういう、心の琴線にピタリとはまる音楽を誰もが持っていると思うのだが、それに気付いていないか、もしくは気付いてはいるのだけど、カッコいい流行りの音楽ではないので、人に言わないでいるかのどちらかのはず。

幸い、私にはそれがある。

ベタであるので、人前では弾かない。バンドの練習でもやらない。

でも、老後に一人になって、ポツリポツリと鍵盤を触って奏でる曲は、きっとこういう音楽。

それが分かっている。

それが分かっているということが、とても幸せなことだということも、分かっている。